【2020年8月】今月読んで良かった本の紹介
6分目次
蜜蜂と遠雷(恩田 陸)
映画化されたので有名なのですが恩田陸さんの天才ピアニスト4人が主人公で彼/彼女らがコンクールで競い合う話。
話の大筋としてはひとつのコンクールの優勝者を競うっていうシンプルな作りなので誰が優勝するのかなぁ以外に先の展開を予想する面白さはないのですが……。
ただ、カリスマの描き方がめっちゃ上手だなぁと。キングダムの王騎とか、進撃の巨人のリヴァイとか、鬼滅の刃の義勇さんとかとか。ああいうカリスマキャラって大量のモブたちがすげぇすげぇって崇めて、読者も「そんなすごいんだ……」みたいな心象植え付けられると思うんですけど、カリスマキャラの凄さをどれだけ伝えられるかってモブの崇め方をどう描くかで決まると思うんですよね。そういう点で資料のひとつとして、ストーリー/キャラ作りしてる創作系の人なんかは本作は参考になるんじゃないかなぁとか思ったり。
2025年、人は「買い物」をしなくなる(望月 智之)
電車の広告で目につきその場でKindleで購入。今賃貸と持ち家の生涯的なコストってそんな変わらないってのが割と通説になってきてると思うんですけど、そういう「所有するor借りる」の構造がもっと小さなスケールでも起こってくると。具体的には今持っているスマホやパソコン、服から家具などなど。
スマホを借りるっておかしいじゃないかとお思いかもしれないのですが、機種変時に今使用しているスマホを買い取ってもらって機種変代が安くなるとか色々ありますよね。パソコンや服も家具も要らなくなったら売ったりすることが出来るわけです。あるいはそういった家電、衣類、賃貸のサブスクリプション(月額定額制のレンタルサービス)もあります。
つまり、当たり前ながら人々は買い物をしなくなるわけではないけど(そしたら生きていけませんね)、その買い物の目的が所有ではなく使用へと移り、最終的には売るなり返すなりする形が当たり前になるよと言ってるのが本書です。
で、そこから少し発展させて、じゃあそれを前提とした上でどうするのがマーケティング面でいいだろうかっていうことをつらつらと。そっちの方が本題で、長いです。
82年生まれ、キム・ジヨン(チョ・ナムジュ)
風刺系の小説というかルポというか。個人的には面白いとは思わず、「へぇ、そんな実情があるんだ」って感想しかなかったのですが、ただまぁ売れていて気になっていた作品だったので読んでよかったのは読んでよかったかも。
海外の翻訳作品を確か数年ぶりに読んだのですが、最初の数ページですでに苦手意識が蘇りましたね……。漫画とか映画とかって、登場人物が一気に出てきても顔とか服装とか体系とかで見分けをつけるのが割と簡単だと思うんですけど、翻訳小説で登場人物がいっぺんに出てくると個人的には詰むんです。というのも、海外の名前ってだいたい聞きなじみがなかったりしてて、そうなると登場人物の名前を新規の単語というか謎の文字列として認識してしまうんですよね~。
極端な話、下記二文の読みづらさって個人的には同じだったりします。
デヒョン氏の妹チョン・スヒョン氏の一家がやってきた。デヒョン氏の二歳下、ジヨン氏の一歳上にあたるスヒョン氏は、
ZAGV2R氏の妹K8JIHG氏の一家がやってきた。ZAGV2R氏の二歳下、4LQXM6氏の一歳上にあたるK8JIHG氏は、
これが日本文になると、名前は既知の単語である可能性が高いためぐっと読みやすくなるんです。
田中氏の妹鈴木氏の一家がやってきた。田中氏の二歳下、佐藤氏の一歳上にあたる鈴木氏は、
映画化するそうなので映画で見ればもう少しは楽しめたかも。